行き過ぎた正義観。自粛警察への対策
2023年04月20日
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感染者数の拡大時は飲食店の営業自粛やリモートワークで仕事をするなど日常生活にも様々な変化が起こりました。
なかでも日本は、法律で営業停止など人の動きを強制的に制限することができなかったため、「自粛」と言うかたちで人々に行動制限をするよう要請を行っていました。
飲食店も営業自粛に追い込まれましたが、法整備が整っていないこともあり、給付金などの救済策が乏しく、営業を続けるお店もありました。
ここで出現したのが「自粛警察」です。
自粛をしない人や飲食店、個人商店に対して私的に取り締まりを行う人達が急増しました。
今回は実際の事例を元に、原因と対策について解説していきます。
自粛警察とは
自粛警察とは緊急事態宣言以降に急速に増えてきた人たちの総称で、他者の行動を制限するように働きかけたり、コロナ禍で営業している店舗に勝手にチラシを貼ったりして攻撃をしている人のことを指します。
日本では法律上、街や地域を封鎖するロックダウンが行えないため、自粛の要請をおこなっていました。
本来は自分の行動範囲などを制限するものですが、やがて、他人や商店の行動にまで過剰に反応して問題となっていました。
ひとたびコロナ関連の話題が上がるとすぐに過敏に反応したり、営業しているお店をインターネット上で叩いたりして話題に上がっていたのを見たことがあるでしょう。
本当は誤った情報であるにもかかわらず、物事の真偽を確かめずにバッシングしたり、攻撃したりする事例も発生していました。
そもそも「自粛要請」は強制ではなく、必ず守らなければいけないルールでもありません。
しかし「自分が守っているのにどうしてあの人は守っていないんだ」という歪んだ被害者意識と誰も経験したことのない非常事態ということも相まって自粛警察の動きが活発になっていました。
【自粛警察の背景にあるもの】
自粛警察が活発になった背景には、コロナ禍という異常事態で人々の判断機能が麻痺していた事が考えられます。
有名な心理実験でも実証されている通り、どんなに普通の人でも、一定の条件下では人が変わってしまいます。
歪んだ正義感やねじ曲がった被害者意識により行き過ぎた行為をしてしまったことは事実ですが、誰でもそうなる可能性はあったわけです。
日々、感染者数や死亡者数が更新されていき、対策も不透明という事態の中で自粛警察がまん延するのは仕方ないことだったのかもしれません。
行き過ぎた行為
仕方ないとはいっても攻撃をしてしまったことは事実で、ひどい場合は罪に問われる可能性があります。
例えば店舗に無断で張り紙をする行為は軽犯罪法に引っかかりますし、店舗側の人間が精神的被害・物質的損失を被ったとして威力業務妨害に問われることもあります。
実際にあった事件を振り返り、どのようなことをしてしまうのかを意識しておく必要があります。
【事例その1】
コロナ禍が進行するに連れ、マスクを常用することが求められました。
今でも、店舗や電車を利用する際にはマスクの着用をお願いしているところは多いです。
マスクをする理由はあくまで、飛沫が周りに飛ばないようにするためでした。
そのため人がいないところではマスクをしていなくても感染のリスクも高くありません。
しかし、マスクをしていない人を見つけては怒号を浴びせたり、マスク着用を強要する人が全国に散見されていました。
制限されたコロナ禍のなか、余計にストレスを抱えたり、そのことが原因で精神的に病んでしまった方もいました。
【事例その2】
千葉県のとある商店では自粛要請に従って休業していたにも関わらず、脅迫まがいの張り紙をされたケースがありました。
その他にも、時短営業をしていた居酒屋に、自粛をしなければ警察を呼ぶといった張り紙をされたケースもありました。
コロナという敵に対してみんなで立ち向かっていこうと言えば聞こえはいいですが、個人が独自の判断でこのような行為をしてもただの嫌がらせ行為です。
【事例その3】
対策
このように自粛警察たちは自己の正当性を主張して他人の行動を抑制したり、企業を批判したりしてきました。
しかし冷静に見ると、恣意的な見方で事実を曲解して的はずれな主張を行っているものばかりで、企業や商店としては毅然とした立ち振舞いが重要です。
自粛警察は悪質なノイジーマイノリティである可能性が高く、一つの火種にすぎません。
自粛警察の隆盛により、企業のプロモーションや広告が炎上する事例も増えていましたが、必ずしもプロモーションや広告がだめということではないのです。
もちろんコロナ被害者や営業自粛によって大きな損害を受けた企業などに対して配慮をする必要はあります。
しかしその上での企画であれば全く問題がないのです。
そのためもし炎上した場合は、本当の被害者への配慮が足りていたか、無頓着ではなかったかといったことを検証するべきです。