異物混入で炎上を防ぐために企業ができることとは?
2023年04月20日
読了時間目安: 4分
近年、SNSの普及に伴い、異物混入事件が瞬く間に拡散されるようになりました。
この記事では、食品への異物混入がSNSで拡散されることによる企業のリスクと、異物混入によるSNS炎上対策の重要性について解説いたします。
SNS拡散のリスク
SNSが普及した現代では、一度情報が拡散されると、その速度や範囲は予測が難しくなりました。
特に食品業界においては、異物混入情報が拡散されることで、企業のブランドイメージや信頼性に大きな影響を及ぼすことがあります。
さらに、株価への影響や、取引先との関係悪化など、企業活動全般にわたるリスクが発生する可能性があります。
異物混入の原因と対策
異物混入は、製造過程や原材料調達、梱包プロセスなど、さまざまな段階で発生する可能性があります。そのため、企業は徹底した衛生管理や品質管理を実施し、異物混入のリスクを最小限に抑えることが求められます。これには、原材料の検品や製造工程の監視、完成品の検査や製造設備の定期的な点検が含まれます。清掃、メンテナンスを行い、設備由来の異物混入を防ぐことも求められます。定期的に検査を実施し、結果を公表することで、安全性の確保と消費者の抱く企業イメージを向上させることができます。また、従業員の教育や訓練を定期的に実施し、意識向上を図ることも重要です。ヒューマンエラーの可能性は常に存在しており、異物混入を防ぐために、作業手順の明確化やチェック体制の強化を行うことが効果的です。
SNS炎上対策
異物混入が発覚した際のSNS炎上対策として、以下のポイントが挙げられます速やかな情報開示: 事実関係の確認後、速やかに情報を公開し、透明性を確保することが重要です。謝罪と対策の発表: 謝罪を行い、再発防止策を明確にすることで、信頼回復につながります。SNSの監視と対応: SNS上の拡散状況を監視し、適切な対応を行うことが求められます。
【クライシスマネジメントの導入】
クライシスマネジメントとは、企業が直面する緊急事態や危機に対処するための一連の対策と管理手法ですクライシスマネジメントは、企業のリスクを最小限に抑えるために重要な要素であり、事前の計画や緊急時の対策が求められます。クライシスマネジメントを導入する際には、組織全体で協力し、継続的な取り組みが必要です。危機に対応できる体制を整えることで、企業は信頼性を維持し、ブランドイメージを守ることができます。また、危機を乗り越える経験を通じて、組織の柔軟性や危機対応力が向上し、企業価値の向上にも寄与します。以下のステップに分け策定することが重要です。
【危機管理体制の構築】
企業は、異物混入が発生した際の対応プロセスや責任者を事前に決定しておくことが重要です。また、定期的にシミュレーションやトレーニングを実施し、緊急時の対応能力を向上させることが求められます。
【危機対応プランの策定】
事前に潜在的な危機(異物混入など)をリストアップし、それぞれの危機に対する具体的な対応策を策定します。このプランには、情報の収集・分析方法、対外的なコミュニケーション戦略、内部連絡体制、リコールや再発防止策などが含まれます。
【教育・訓練】
危機対応プランを全社員に周知し、定期的な研修やシミュレーションを実施します。これにより、緊急時に迅速かつ適切な対応ができる体制を整えます。
【情報収集と分析】
異物混入が発覚した場合、事実関係の確認や原因特定を迅速に行うことが重要です。また、日頃からSNSなどでの情報拡散状況を監視し、状況に合わせた適切な対応を検討することが必要です。
【危機発生時の対応】
危機が発生した場合には、危機管理チームが中心となって、危機対応プランに従い行動を開始します。情報収集、原因分析、リコール実施、対外的なコミュニケーション、再発防止策の策定など、スピーディーかつ適切な対応を行います。
【コミュニケーション戦略】
対外的なコミュニケーションは、事実関係を明確に伝えることが重要です。また、謝罪や再発防止策を明確にし、企業の誠意を示すことが求められます。内部のコミュニケーションの強化も重要で、炎上や問題が発生した際に、社内の連携がスムーズに取れるような環境を構築しておきましょう。
広報・リスク管理部門の役割
事例紹介と教訓
過去には、異物混入が発覚し、SNSで拡散された企業がいくつか存在します。その中で、速やかな情報開示や謝罪、再発防止策を明確にした企業は、信頼回復に成功しています。一方で、情報の隠蔽や対応の遅れが指摘された企業は、ブランドイメージの損失や経済的な損失を受けている事例があります。これらの事例から学ぶべき教訓は、迅速かつ適切な対応が企業の信頼回復に不可欠であることです。
【成功事例】
2023年の2月初頭、飲食店にて醤油のようなタレの入った瓶の中に虫が混入している動画が拡散されました。発生日の翌日にチェーン店の運営企業は、当該店舗の酢醤油などの廃棄や保健所の監査を行い、衛生管理状況に問題がないと確認を得たと発表しました。更に数日の間に卓上調味料の撤去を全店舗で行い、注文を受けてから提供するシステムに変更したという発表がありました。これを受け、SNSでは批判も少なく、対応の速さを称えるコメントもありました。迅速な事実確認と再発生を防ぐために迅速にフローを変更した点が評価されたと考えられます。飲食業界では度々衛生管理や混入事件が相次いでいます。発生を防ぐための環境づくりも重要ですが、発生してしまった際の事後対応やフローの改善も事前に準備しておくことが重要です。
【失敗事例】
2014年の年末、Twitterに調理前のインスタント食品に虫が入った画像が投稿されました。このツイートはインターネットでも広く拡散され、ショッキングな画像とともに大きな話題を呼びました。しかし、製造企業のその後の対応は不適切なものとして、更に批判を浴びる格好となりました。第三者調査などを行う前に責任転嫁をする発言や再発を防ぐために関係ない対応を行うと、企業に対しての不信感を助長させる原因の一つとなります。問題が発生した際のフローや危機対応プランを事前に策定することで、適切な事後対応を行うことができます。