SNSでの投稿が会社に損害を与えた場合の法的責任と解決方法
2023年04月21日
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バイトテロが会社に与える影響
バイトテロが発生した場合、会社に損害を与えるだけでなく、社会的な信頼や評判を失う可能性があります。近年、SNSなどを通じた情報発信が容易になったこともあり、バイトテロでの炎上騒動が多発しています例えば、あるコンビニのアルバイトが、商品であるホットスナックを勝手に食べたり掃除用具で遊んだりする行為を撮影しネットに投稿し炎上を招きました。上記事例は消費者が企業に対して不信感を抱く要素の一つとなっており、企業の評判を落としかねない典型的なバイトテロと呼ばれる行為です。SNSに投稿された画像や動画は、拡散され社会的な批判を巻き起こし、会社のブランドイメージを傷つけることになります。
【バイトテロの法的責任】
バイトテロが発生した場合、民事訴訟による損害賠償請求が可能です。従業員は、雇用契約に基づく義務を遵守することが求められており、その義務違反によって会社に損害を与えた場合には、損害賠償責任が生じます。また、バイトテロが営業妨害罪に該当する場合には、業務妨害罪に基づく刑事罰が科せられる可能性があります。
【バイトテロの防止方法】
バイトテロを防ぐためには、リスクマネジメントが重要です。事前に起きうるバイトテロを過去の事例などから研究し、対策を講じておくことでバイトテロが起きる確率をできるだけ下げることができますまた、定期的に従業員のモラルを向上させるためのトレーニングや講習を受けさせることも重要です。アルバイトは、学校の卒業や私生活の変化により、入れ替わりが激しいのが一般的です。逐一研修や講習を行うことは困難でも、定期的に行うことで、意識が徐々に改善されていきます。この他にも監視カメラの設置による問題行動の把握や社員間のコミュニケーションの改善など、様々な手段が考えられます。また、リスク発生時には迅速かつ適切な対応が必要です。昨今では炎上に対して、企業の迅速で適切なレスポンスが求められており対応が遅れると企業に対して批判が殺到します。バイトテロが起こる可能性を考慮し、事前に問題発生時のフローを明確にしておくことで炎上が広がってしまう可能性を減らすことができます。例えば、損害賠償請求や刑事告訴を検討するとともに、報道対応やSNS上での対応など、広報面でも対策が必要です。
バイトテロで炎上した人たちのその後の人生
バイトテロで炎上した人たちのその後の人生は、様々です。中には、企業から訴訟を起こされたり、過去の行為が影響して就職先を失ったりした人もいます。ここではバイトテロの実際の事例とその後の当人のその後の人生と企業の対応について紹介します。
【炎上事例1】
バイトテロが起きた有名な事件の一つに、ある個人経営のお蕎麦屋さんがあります。店舗を縮小して再建を図っている翌年、2013年にバイトテロが発生しました。当時アルバイト店員だった男子大学生が、店内で流し台に足をかけたり洗浄機に横たわったりした画像をTwitterに投稿し、炎上騒ぎとなりました。衛生観念などを指摘する講義の電話が相次ぎ、店は閉店し、その後営業を再開することなく3300万円の負債を抱えたまま破産に至りました企業側は当該アルバイトに対して1000万円以上の損害賠償を請求する裁判を行いましたが、結果はわずか200万円で和解することで合意されました。事件を起こした当人のその後は明確に分かっていませんが、バイトテロを起こした人物の本名や出身学校、場合によっては住所までネットで晒し上げられる可能性があります。企業として正当な金額の損害賠償請求だとしても、加害者の支払い能力不足により少額で和解というケースも少なくありません。企業はバイトテロが起きないような環境づくりが重要です。
【炎上事例2】
某寿司チェーン店でアルバイト店員だった男子学生は、食材をゴミ箱に捨てた後にふざけてもう一度まな板に乗せるという一連の行為を撮影しSNSに投稿しました。投稿が見つかるとすぐに大炎上し、店舗への抗議電話は3日で1300件以上になりました。事態を重く受け止めた当該企業は法的に厳粛な対応を進めると公表し、最終的には事態に関わった3名がそれぞれ偽計業務妨害容疑と偽計業務妨害ほう助容疑で書類送検されました。書類送検にまで至った事件はこれまでに多くなく、この事件以降、バイトテロに対して企業は厳格な対応を取るというのが印象付けられ、世間も問題を起こした当人に対して非難が向けられるように変化していきました。問題を起こしたアルバイト店員さんは本名と顔写真がネット上に拡散されました。