誤爆・情報漏洩
情報持ち出しを防ぐ対策とは?情報漏洩の具体例、発生リスク、効果的な対策
2023年07月31日
読了時間目安: 6分
デジタル化が進み、膨大な情報が電子化された現代において、情報の持ち出しや情報漏洩は組織の運営にとって大きな脅威となります。情報漏洩により、顧客の信頼損失、法的責任を問われるリスク、業績の低下、そして企業の存続に直結する重大な問題まで発展する可能性があります。さらには、重要な情報が漏洩することで、企業の競争優位性を失うこともあります。企業秘密や研究データ等、重要な情報が不適切に外部に持ち出されることは、極めて深刻な結果を招くことがあり、企業にとってその対策は非常に重要です。
本記事では、情報漏洩の具体例とそれによる発生リスク、そしてその防止策についてお伝えします。
本記事では、情報漏洩の具体例とそれによる発生リスク、そしてその防止策についてお伝えします。
情報漏洩の定義
情報漏洩とは、企業や組織が保有する様々な情報が意図しない方法で外部に流出し、不適切に公開される現象を指します。情報は顧客データ、研究成果、財務情報、人事情報など、業務遂行に不可欠なものから様々で、その漏洩原因も従業員の誤操作から故意的な持ち出し行為まで広範にわたります。情報漏洩は組織にとって大きなリスクを引き起こし、組織にとって壊滅的な損害を与えてしまう場合があります。そのため、情報漏洩を防ぐことは組織にとって重要な課題であり、そのための適切な対策が求められています。その対策を立てる上で重要なのは、情報漏洩によるリスクを知り、具体例から考察することです。まずは、情報漏洩によるリスクについて理解しておきましょう。
情報漏洩がもたらすリスク
情報漏洩が発生した場合、企業や組織には多大なリスクが伴います。主要なリスクとして以下の4つが挙げられます。
1. 経済的な損失
情報漏洩により、企業は直接的・間接的な経済的損失を被る可能性があります。直接的な損失とは、情報の価値そのものや、情報を取り戻すための費用、法的制裁としての罰金などを指します。間接的な損失とは、企業評価の低下による株価の下落、顧客の離反、新規顧客獲得の機会損失など、漏洩事件の後遺症によるものです。
2. 信頼性・評価の低下
情報漏洩は企業の信頼性と評価を大きく損なう可能性があります。特に、顧客情報や個人情報が漏洩した場合、企業は顧客からの信頼を失うことになります。この結果、企業のブランド価値や評価が低下し、長期的にはビジネスの持続性に影響を及ぼす可能性があります。
3.法的な問題と制裁
情報漏洩は、データ保護法などの違反になりうるため、法的な問題を引き起こす可能性があります。特に個人情報保護法などは世界的に厳格化の一途をたどっており、違反には厳重な罰則が科されます。法的な制裁には、罰金の支払いや被害者への補償などが含まれ、これらは企業に大きな負担を与えます。
4.技術的なリソースの浪費
情報漏洩が発生した場合、その原因を追究し、問題を修正するために大量の技術的リソースを投入する必要があります。これにより、他の重要なプロジェクトやタスクに投資すべきリソースが浪費される可能性があります。特に小規模な企業では、このようなリソースの浪費は大きな打撃となります。これらのリスクを適切に管理し、情報漏洩の対策をするために、実際に起こった情報漏洩の具体例を見てみましょう。
情報漏洩の具体例
情報漏洩の具体例を、以下に4つ挙げて説明します。このうち、1~3つ目は情報持ち出しによるものです。
1. 物理的なデータ転送
従業員が機密情報を含むファイルをUSBメモリやポータブルハードドライブにコピーし、それを企業の外部へ物理的に持ち出すというケースです。この行為により、情報は容易に管理の手が届かない場所へと移動し、その後の情報の流出リスクが大幅に高まります。
2.クラウドストレージを利用した情報持ち出し
従業員が企業の機密情報を自身のクラウドストレージアカウントにアップロードし、それを企業外でアクセスするケースです。このような行為は、情報を直接的に企業のコントロールから離し、情報の不適切な共有や外部への漏洩のリスクを増加させます。
3.電子メールを用いた情報持ち出し
従業員が企業の機密情報を含むファイルやドキュメントを自身の個人の電子メールアドレスへ送信するケースです。個人のメールアドレスへ情報を持ち出すことで、その情報は企業の管理下から外れ、後に外部へと漏洩する可能性が高まります。これらの例からわかるように、情報持ち出しは情報漏洩の大きなリスクをもたらします。特にデジタル情報の持ち出しは、一度行われてしまうと情報の流出を防ぐことが困難となるため、情報持ち出し防止策の徹底が必要となります。情報漏洩は、情報持ち出し以外にも多く存在します。
4.サイバー攻撃
情報漏洩に対する7つの対策
次に様々な情報漏洩に対する具体的な7つの対策を挙げていきます。
1. アクセス管理
企業内の重要な情報へのアクセス権限を必要な人だけに限定することが重要です。また、アクセスの履歴を記録し、不適切なアクセスがないか定期的にチェックすることも重要な対策となります。
2. 情報保護システムの導入
ファイルの暗号化やデータ損失防止 (DLP) ツールの導入など、テクノロジーを活用した情報保護対策も有効です。これらのシステムは、情報が不適切に持ち出されるのを防ぐだけでなく、情報の流出を検出する機能も備えています。
3. 従業員教育
従業員が情報管理について正しく理解していないと、無意識のうちに情報を持ち出す可能性があります。従業員に対する教育と継続的な情報保護に関する啓発活動は、情報持ち出し防止の鍵となります。
4. 情報持ち出しの監視と検出
ネットワークトラフィックの監視や、不審な行動を検出するシステムの導入も情報持ち出し防止に寄与します。これにより、異常なデータの流出を早期に検出し、対応することが可能になります。
5. ポリシーと手続きの策定
企業は、情報管理に関する明確なポリシーと手続きを策定し、それを従業員に徹底することが重要です。情報持ち出しに関するルールを設定し、違反した場合の処分を明確にすることで、従業員の意識を高め、情報持ち出しを防ぐことができます。
6. セキュリティ対策の強化
ファイアウォールの導入や定期的なセキュリティ更新、侵入検知システムの導入など、ITインフラのセキュリティを強化します。
7. 継続的なモニタリング
不審な通信や異常なネットワークトラフィックを検知するために、継続的なネットワークモニタリングを行います。これにより、サイバー攻撃の兆候を早期に検知し、対応することが可能となります。これらの対策は、組織全体での取り組みが求められます。情報管理の重要性を認識し、持続的に情報保護対策を強化することで、情報持ち出しを防止し、組織の信頼性を維持することが可能になります。
まとめ
情報は現代のビジネスにおける重要な資産の1つであり、その保護は企業の存続に直結します。情報持ち出しによるリスクは、経済的損失だけでなく、企業の信頼性や評価の低下、さらには法的な制裁を伴う可能性があります。企業内部からの情報漏洩、サイバー攻撃による情報漏洩、情報持ち出しによる情報漏洩など、多岐にわたる情報漏洩の原因に対応するためには、従業員の教育、データ管理の厳格化、適切なセキュリティ対策の強化、そして継続的なモニタリングが必要となります。具体的な対策としては、従業員への定期的な情報セキュリティ教育、情報アクセスの管理、ファイアウォールや侵入検知システムの導入、ネットワークの継続的なモニタリング、外部記録メディアへのデータ転送の制限、そして適切なアクセス制御が挙げられます。また、情報漏洩防止対策は一度行ったからといって終わりではなく、常に最新の脅威に対応できるように更新し続けるべきです。対策を継続することにより、企業は情報漏洩リスクを大幅に低減し、企業価値を守りつつ、さらには顧客やパートナーとの信頼関係を維持することが可能になります。情報漏洩防止は絶え間ない努力と組織全体での取り組みが必要な、重要な課題であると言えます。