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会見する事態にさせないための危機管理広報と予防対策

2024年08月19日

読了時間目安: 4分


お客様より「会見の成功事例を教えてほしい」とお問い合わせをいただくことがあります。

弊社のコラム『危機管理広報視点で分析する「良い謝罪会見」のポイント』 でも紹介しましたが、会見がいかに好事例であっても、企業としてはダメージを受けていることを忘れてはいけません。危機管理広報的には、会見する事態になった時点でアウトです。

ここではその理由と、会見が必要な事態にさせないための「予防対策」について解説します。

会見は最後の手段

危機事案の会見は「事案発生からこれまで有効な対策を打てていない」「対策に効果がなかった」「事案を放置していた」というメディアや世間の厳しい評価からスタートします。既に企業への信頼が失われており、「会見する事態になった時点でアウト」と言われるのは、この「マイナス」の状態から会見がスタートするからです。一度失った信頼を会見の実施により取り戻すことは、不可能に近いと言えます。

会見する事態にしないための予防対策

万一危機が発生した際、会見する事態にさせないために、どのような対応をすればよいでしょうか。企業における危機管理は、単なる事後対応ではなく、事前の準備と予防が不可欠です。ここでは、企業が取り組むべき具体的な予防対策を5つ紹介します。

①個人情報保護などのセキュリティ関連の従業員教育を徹底(従業員予防教育)
②SNSのチェックを通じて問題事案の火種があるかどうか確認(モニタリング)
③問題事案の可能性がある場合すぐに「対策会議」を開ける体制作り(体制構築)
④会社の危機事案の共有と対応策の事前確認(危機管理マニュアル作成)
⑤メディアトレーニング受講(上層部教育/会見やメディア取材対応訓練)

これらの予防対策を実施することで、万が一の危機にも冷静かつ迅速に対応できるようになり、最悪の事態を回避することが可能です。

危機兆候の早期発見の重要性

先述した5つの予防対策の中でも「危機兆候の早期発見」は、事態の悪化を防ぐために非常に重要です。 定常的なリスクモニタリングにより「危機の兆候」を早期発見し、「適切な対応」を施すことが被害拡大防止につながります。兆候の発見後、影響のあった関係者への適切な対応を行い、原因究明と対応改善策を実施すれば、大事にならないケースは多いです。

また、現代におけるリスクモニタリングの手段として、SNSチェックは非常に有用です。消費者によるサービス品質や従業員対応への指摘、ネットへの機密情報の漏えいなど、社内では検知しづらい危機の兆候も、SNSの投稿をモニタリングすることで早期に発見できます。

危機の兆候を早期発見し、適切な対応につなげるために、SNSを含むリスクモニタリングを定常的に行い、危機の芽を摘み取る体制を整えておくことが求められます。

危機対応マニュアルを整備することが事態の早期収束につながる

危機の兆候を早期発見した後「適切な対応」を取れるかどうかは、対応マニュアルの有無によって左右されます。万一の際に迅速な対応ができるよう、危機発生時の体制・対応・分担を明確化した「危機管理マニュアル」を準備しておく必要があります。

まずは、会社としてどのような危機が想定されるの洗い出しを行い、自社のリスクの「ハザードマップ」を作成し、危機管理にあたるメンバーでの共通認識を持つことが重要です。洗い出したそれぞれのリスクについて、発生可能性(頻度)と企業影響度(コスト/ダメージ)を明確化することで、「このような事態にさせないように」という対策意識も高まります。

危機が発生する可能性がゼロの会社は存在しません。危機発生時に会社へのダメージを最小限に抑えるため、できることから「予防対策」に取り組みましょう。