炎上プロセスの変化~マスコミ報道による炎上拡大~
2024年12月29日
読了時間目安: 4分
燃料投下装置としてのマスコミの機能
SNS上で発生する炎上は、マスコミがその拡大を助長しているケースが多く見受けられます。これは、紙媒体やテレビなどのメディアが厳しい経営状況に置かれる中、WEBメディアでの「閲覧数稼ぎ」に依存していることが関連しています。
記事には「正確な事実報道」が求められているものの、実際に報道される内容は媒体社の判断に委ねられており、どうしても「(マスコミの考える)社会正義」の視点が反映されがちです。そのため、危機事案が発生すると、企業に対し否定的な報道が行われることが多く、読者が「より否定的な見解」を持つ要因となり得ます。
炎上に至るまでのプロセス
以下は、ある事例の炎上プロセスを示したものです。
- 1. 火種となる投稿や広告
- 2. 投稿・広告を見たユーザーが話題化 ※まだ炎上に至っているとは言えない
- 3. マスコミによる「炎上」記事化
- 4. 記事を見た著名人やインフルエンサーによる拡散
- 5. 拡散投稿に反応したフォロワーによる再拡散/大炎上
2番目の段階では「話題化しているが炎上には至っていない」にも関わらず、3番目で「マスコミが炎上ニュースとして記事化」しています。この燃料投下をきっかけに、4番目で炎上状態になり、さらに5番目で大炎上につながっています。この流れは、SNSユーザーであれば、感覚的に理解しやすいものだと思います。
最初に企業側が批判の集まりやすい内容を発信してしまったことに落ち度はあるものの、話題のボリュームがそれほど大きくない段階で、「賛否の”否”」の部分が大々的に報道されてしまうケースは後を絶ちません。このため、記事の読者が事実誤認をしたり、記事に取り上げられていない事柄まで企業批判したりと、ネガティブな投稿が一層集まりやすい状況が形成されてしまいます。
過激化する見出しと、見出しだけで反応する人々
なぜ、マスコミはこのような記事を書き続けるのでしょう。その背景には、ネット記事の特性があります。ネット記事は閲覧数という「記者の成績」が即時にわかりやすく反映され、閲覧数の多い記事はメディアプラットフォームにとっても「良い記事」と判断されます。
実際、刺激的な内容の記事ほど閲覧数が増えるため、記事が過激化したり、見出しが本文とは乖離した刺激的なものになっているケースも多々あります。また、例えばYahoo!ニュースのコメント欄では、記事を読まずに「タイトルだけ」で脊髄反射のように批判投稿をしているケースも散見され、部分的な情報による判断と感情が飛び交っています。このような状況下では、いくら企業が訂正を試みてもなかなか聞き入れてもらえず、否定的な感情を払拭することは困難な状況です。
炎上を防ぐためには「火種を作らない」ことが重要です。加えて、メディアがどのように情報を拡散するかを理解し、戦略的に対応することも必要です。日頃から防止策を徹底するとともに、炎上が発生した際には、メディアも含め、ステークホルダーに真摯な対応を行うことが求められます。
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