炎上動向調査マンスリーレポート 2021年9月号
2021年11月05日
(Twitterデータは10分の1のサンプリングデータ)
2021年9月は、①糸井重里氏の「ウーバーイーツ清潔感ない」発言で炎上、②野々村真氏のワイドショーでの菅元総理に対する「「もっと早く辞めて欲しかった」発言で炎上、③番組内での八代英輝弁護士の共産党めぐる発言による炎上、④はんつ遠藤氏の元AKBのラーメン屋店主関連の炎上などが発生しました。
上記の騒動では、著名な人物の発言やSNS投稿への非難が起こりました。ワイドショー等のテレビ番組では、コメンテーターの発言に注目が集まります。SNSでの偏向発言には反対するコメントや過激なシェア活動(ハッシュタグ運動等)が展開されてしまいます。芸能人・文化人が政治分野に関するテーマを語る行為は、ネットでもオフラインでも炎上リスクがあり、騒動となった場合はスポンサー企業にも影響が及ぶ事態へと発展しました。2021年10月に新たな内閣が誕生し、10月には総選挙、22年夏には参院選など政治関連のイベントが続きます。企業が著名人を広告に起用している場合を考え、政治的発言で炎上するリスクと、その対策について解説していきます。
起用している芸能人の政治活動に関する炎上リスク
企業で広告起用している芸能人がネット上で政治的な偏向発言を行った場合、企業において様々な影響が発生。まず挙げられるのは、反対派からのクレームや攻撃的な反応です。「なぜあの芸能人を起用しているか」「起用しているおたくも(企業も)芸能人と同じ意見なのか」といった内容への対応に追われます。
次に、SNSを中心に反対派による自社製品の不買運動が始まり、他の生活者の同意を得てしまった場合は、自社の株価暴落、憶測や誤認による風評被害まで発生してしまう可能性があります。その際に、株主への説明や、報道機関からの取材対応、公式見解の発表など、緊急対応が必要となります。従業員の労力が割かれるだけでなく経済的な損失も発生します。
企業が政治関連でのネットリスクを避けるために
企業の広告塔やスポンサーをしているスポーツ選手、芸能人が政治的な発言をした場合の炎上が想定されます。このネット炎上を防ぐために、起用する人物に対しては、過去にどのような発言をしているのか調べておくと良いでしょう。しかし芸能人とは言え、私人として、「表現の自由」があり、「政治に参加する権利」もあります。スポンサー契約時に政治的な発言をしないように取り決めをしていても、全てを制約することは難しいかもしれません。被害を少なくするために、事案の想定が有効です。日常的なネットモニタリングの仕組みと対応策をあらかじめ決めておくべきです。広告塔の傾向やSNSクチコミで露呈した「ネガティブな予兆」を、なるべく早めに検知・把握して対応していきます。
今後の動向について
アメリカのケースでは、ジョージ・フロイドさんの暴行死事件に対してハリウッドスター、スポーツ選手、世界的企業の多くが政治的発言や抗議運動をしており、アメリカだけでなく全世界に影響を与えました。
日本では、新型コロナの経済的な影響が芸能・文化に関わる方々にも及んでおり、各種支援の要請や政治に対する意見を自発的に発信しています。また彼らへの賛同者もSNSで発言を行っている状況です。芸能人の存在自体に価値を見出され、企業のプロモーションに活用されています。広告に起用された芸能人は、自身の発言や行動による影響力を慎重に考慮するべきだと思います。時代に求められているニーズや政治参加の考え方によって、芸能人による政治的発言の賛否は少しずつ変わってきている時代かもしれません。しかし、まだまだ政治的発言にはネット炎上の火種につながりやすい。発言全てを制約することは難しいです。企業は「もしもネット炎上したときのために備えること」を対策として取り入れることをオススメします。
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